スマートフォンとSNSとともに育ったデジタルネイティブ世代は、職場でもデジタルコミュニケーションを好むと思われがちだ。しかし職場での人間関係に関する最新の調査結果は、この固定観念を覆す意外な実態を明らかにした。
法人向け不動産サービスを提供するスターツコーポレートサービスが会社員768名を対象に実施した「社員のコミュニケーションと世代間ギャップに関する調査」によると、勤務形態によって職場でのコミュニケーション機会に最大5倍もの格差が生じているだけでなく、若い世代ほど対面でのコミュニケーションを求めているという結果が出たのだ。
勤務形態で変わる「つながり」の実態
調査では、全体の58.6%がここ1年で職場でのコミュニケーションが増加したと回答したが、勤務形態別に見ると深刻な格差が存在している。フルリモートが16.3%、リモートが多いハイブリッドが42.5%、出社が多いハイブリッドが71.7%、毎日出社が61.7%となっているのだ。

興味深いのは、完全出社よりも「出社が多いハイブリッド」で最も高い数値を示した点だ。これは、リモートワークと対面勤務の使い分けが、かえってコミュニケーションの価値を高めている可能性を示している。
一方、フルリモートではコミュニケーションが増えたと答えたのは16.3%にとどまった。リモートワーク導入企業にとって、この結果は見過ごすことのできない課題だといえる。
世代間で異なるコミュニケーション需要
調査ではまた、世代間でのコミュニケーション意識にも違いが見られた。職場で異なる世代の人とコミュニケーションを取りたいと思う人は全体で51.6%だったが、年代別では明確な傾向が表れた。

最も積極的だったのは20代で、30代と50代が相対的に消極的という結果になった。コメントを見ると、30代は育児や介護といった仕事以外のタスクが多いこと、50代以上はハラスメントリスクを恐れている人が多いことが年代別で差が大きい要因として挙げられている。