6月の満月「ストロベリームーン」は、北半球の春に終わりを告げる満月だ。何といっても、夕暮れ時に東の地平線から昇り始める姿が最も美しい。ストロベリームーンという名称は米先住民の農事暦に基づいており、北米で6月に野イチゴが収穫期を迎えることに由来する。
夏は満月の南中高度が低い季節だが、2025年6月11日(水)の満月はそれだけでなく、2006年以来最も低い位置で南中する満月となる。これは、月の南中高度や出入り方位の年間変動幅が18.6年ぶりに最大となる「Major Lunar Standstill」と呼ばれる現象によるものだ。
ストロベリームーンを見よう
今年の夏至は6月21日(土)。ストロベリームーンはそのちょうど10日前、11日の日本時間午後4時44分に満月の瞬間「望」を迎える。
天文情報サイトEarthSkyによれば、6月の満月にはストロベリームーンの他にも「ローズムーン」や「フラワームーン」などの呼び名があるという。文化的、季節的な満月の呼称は世界各地でさまざまに異なるのだ。
北半球における6月のストロベリームーンは、1年のうちで最も月の出の時刻が遅いだけでなく、最も南中高度が低い満月でもある。これは満月が地球から見て太陽と正反対の方向に位置し、月の高度と太陽の高度が連動しているために起こる現象だ。太陽が最も高く昇る夏至の頃、満月の高度は最も低くなり、一晩じゅう空高く輝くことはない。

もっとも満月の最大の見ごろは天高く昇ったときではなく、月の出のタイミングだ。太陽が西に沈んでまもなく、薄暮の中で東の地平線から顔を出した瞬間の満月ほど美しいものはない。今年のストロベリームーンは、日本列島のほとんどの地域では日没から20分前後で昇ってくる。
最高に美しいストロベリームーンの満月を拝むなら、東の水平線や地平線が見通せる高台や建物の上階、視界の開けた場所、東向きの海岸などで待ち構えるとよい。
自分の現在地からストロベリームーンの月の出を見るのに最適なタイミングを知るには、月の出入り時刻や方角などを教えてくれるウェブサイトを活用しよう。たとえば東京の場合、6月11日の日の入りは午後6時57分、月の出は午後7時17分となる。