午前9時から午後5時まで働くという概念は、タイムカードに始業・終業時刻を打刻していた過去の名残だ。現代ではいつ、どのように働くかについては、はるかに柔軟性がある。私たちは自分の時間を以前よりもコントロールでき、適切な時間の使い方をすることでこれまでよりも生産的で創造的になれる。そこでマイクロブレイク(小休憩)の出番だ。仕事の合間にとるわずかな休憩は注意散漫や怠惰を表すものではなく、注意力を高め、燃え尽き症候群(バーンアウト)と闘う上で鍵となる。
マイクロブレイクとは
マイクロブレイクとは、心身をリセットするために仕事中に意図的に取る短い休憩のことだ。わずか数秒のものもあれば、数分かかるものもある。その中身はさまざまで、立ち上がってストレッチをしたり、オフィス内を歩き回ったり。また、水を飲んだり、窓の外に目をやったり、あるいは手早く呼吸法を実践するというのもある(ストレスコーチのジョーダン・フリードマンによるこのクイック・カーム・テクニックは人気があり、簡単かつ効果的だ)。予定された休暇や目一杯取る昼食の時間、その他の長い休憩とは異なり、マイクロブレイクは1日のリズムの中に織り込まれている。やる気とマインドフルネスを生み出す、わずかながらも強力な時間だ。
パフォーマンスや健康を持続させるための投資
マイクロブレイクは単に気分転換を図る習慣的な行為ではない。私たちの脳が集中力を維持できるのは疲労が蓄積するまでの25~30分程度だということが研究で一貫して示されている。休憩を中断と考えるのではなく、パフォーマンスを持続させるための投資と考えよう。
また、マイクロブレイクはエナジーを高める効果もある。米科学誌『PLOS ONE(プロスワン)』に2022年に掲載された研究によると、27秒という短いものであってもマイクロブレイクは活力を著しく高め、疲労を軽減するという。エナジーアップに加え、こうしたわずかなひとときは身体の健康にも役立つ。米コロンビア大学の研究によると、30分ごとの5分間の散歩は血圧と血糖値を正常に保つのに役立ち、座りっぱなしの身体への悪影響を相殺するという。
マイクロブレイクは働き方の中核に
新しい考え方を取り入れる時だ。マイクロブレイクは怠けるためのものではない。よりスマートに働くためのものだ。4月に発表された調査結果によると、米国人の25%近くが少なくとも1時間に1回はマイクロブレイクをとっている。また調査の回答者の89%がストレスを軽減するために、93%が再び集中するためにマイクロブレイクをとっていると答えている。同様に重要なこととして、マイクロブレイクを定期的にとっている人のおおよそ半分が、マイクロブレイクを省くと疲労感が増すと答えた。