岩石に埋め込まれたごみは、自然界で形成される砕屑岩に含まれる本物の化石と同様に、新たな「人新世岩」の形成年代を決定するのに利用できる。
論文共同執筆者のジョン・マクドナルドは「今回の研究では、このプロセスの年代を驚くほど正確に決定することができた」として「今回の調査では、1934年発行の英国王ジョージ5世硬貨や、1989年より前に製造されていたはずのないデザインだと判明したアルミ缶の蓋が、岩石物質に埋め込まれているのを発見した。このことから、この岩石の形成期間は最速で35年だとわかる。これは十分に人の寿命の範囲内だ」と説明している。

海洋プラスチック汚染に起因する岩石の一種「プラスチグロメレート」は2014年、米ハワイ島の海岸で初めて見つかった。それ以来、同様の堆積物がポルトガルのマデイラ島、ティレニア海のジリオ島、そして英南西部コーンウォール地方などの海岸沿いで発見されている。今日のプラスチック汚染の拡大に伴い、プラスチグロメレートもますます多く見られるようになるに違いない。
スラグ堆積物は、現在および過去の鉱業地区に多く見られる(中世の鉱業活動から生じた「スラグ砂利」が今なお多くの欧州の河川で見つかる)。具体的には、ガラス製造業、化学工場、溶鉱炉、鉄鋼業などが存在する地域だ。
論文の第三執筆者のデビッド・ブラウンは「この同じ現象が、世界中のどこでも何らかの波の作用に比較的晒されている海岸線沿いにある同様のスラグ堆積物で起きている可能性が非常に高いと考えている」と述べている。
「ここで特筆すべき点は、人間が作り出した物質が自然系の中に組み込まれ、わずか数十年で実質的に岩石化することを今回の研究で明らかにしたことだ。このことは、岩石が形成される仕組みに関する現在の理解に疑問を投げかけるとともに、現代世界を築き上げる中で排出される廃棄物が、人類の未来に不可逆的な影響を与えようとしていることを示唆している」と、オーウェンは結論づけている。
今回の論文「Evidence for a rapid anthropoclastic rock cycle」は、学術誌Geologyに掲載された。
追加資料とインタビューはグラスゴー大学から提供された。