前代未聞である。就任100日足らずでの大激突。我々は歴史上初めて、世界一の権力者と世界一の富豪の衝突を「リアルタイム」で目撃している。2025年5月23日発売のForbes JAPAN7月号では、「ビリオネアランキング2025 マスク、トランプの恩恵を受けたのは誰か?」を特集。これを読めば、世界を動かす人たちの資産額と富の源泉、その影響が及ぶ範囲のすべてがわかる。
1987年以来、フォーブスは世界のビリオネア(資産額10億ドル以上の富豪)を記録し続けてきた。初年度は140人だったその数が、1000人を超えるまでには20年も要した。2000人に到達したのが2017年。そして25年現在、3000人を超えるビリオネアが存在する。今年のランキングは、3028人の起業家や投資家、相続人から構成されており、昨年比247人多い。
平均純資産は53億ドルで、総資産額は16兆1000億ドルに達する。今年は288人が新たに仲間入りを果たした。米国は記録的な902人のビリオネアを抱え、中国(香港を含む516人)とインド(205人)が続いている。
「1000億ドルクラブ」の15人
1000億ドル超の資産をもつ “超富裕層”という階層は、8年前は存在すらしなかった。2025年3月現在、フォーブスの「ビリオネアランキング」には過去最多の15人が名を連ねている。そのうち3人が、2000億ドル以上の純資産を保有している。
これら15人からなる「1000億ドルクラブ」の 資産総額は2兆4000億ドルに達し、昨年比約4000億ドル増加した。これは、ランキングの “下位”1500人の億万長者の資産を合わせた額よりも多い。つまり、世界の3028人のビリオネアの わずか0.5%に過ぎないこの最上位グループが、全億万長者の富の15%を占めているのだ。
フォーブスが初の「ビリオネアランキング」を発表した1987年は、1000億ドル長者など想像できなかった。当時は100億ドル以上の資産をもつ人物が2人しかいなかった。西武鉄道グループの元オーナーの堤義明(200億ドル)と、森ビル創業者の森泰吉郎(150億ドル)だけである。
最初の1000億ドル長者を生み出すには、ドットコム・バブルを待つ必要があった。1999年、マイクロソフト共同創業者ビル・ゲイツが保有する 同社の株が一時的に彼の純資産を1000億ドル以上に押し上げたが、その後の暴落でほぼ半減。その後約20年間、市場の急騰などがあっても、誰一人として大台に達する者はいなかった。だが2017年の後半、アマゾン・ドット・コムの時価総額が1兆ドルに向けて急上昇。同社を立ち上げたジェフ・ベゾスが史上2人目の1000億ドル長者になった。21年になってからは、ベゾス以外の富豪も1000億ドルに到達するように。今では、スペースX創業者のイーロン・マスク、LVMHのベルナール・アルノーCEO、ビル・ゲイツなどが1000億ドルクラブの仲間入りを果たしている。
数字で見るビリオネアたち
ビリオネアの年齢内訳

平均年齢は66歳。最高齢は米国の“保険王”ことジョージ・ジョセフ(103歳)で、最年少はドイツの製薬大手創業者一族のヨハネス・フォン・バウムバッハ(19歳)である。
ビリオネアの国別内訳

米国が902人のビリオネアを抱え、中国が516人(香港を含む)で2位を堅持、インドは205人で3位にランクインした。掲載者の50%以上がこれら上位3カ国の富豪からなる。
ビリオネアの業界内訳

1987年のランキングは、“不動産王”によって占められていた。近年は、ウォール街で資産運用家として成功した人物や、シリコンバレーのテクノロジー企業の創業者が多い。
ビリオネアの総資産内訳

ビリオネアの増加により最も裕福な上位20人が保有する富の割合は減少していたが「1000億ドル長者」という超富裕層の誕生により、“富の格差”が拡大しようとしている。
SOURCE: Forbes