すでに東京都などの一部自治体や企業が導入している週休3日制。週5日勤務でも残業に追われる人が多いこの日本で適切に導入できるのかが心配だが、その明るい可能性が働く人たちを対象とした調査で見えてきた。
外資系人材紹介を行うヘイズ・スペシャリスト・リクルーメント・ジャパンは、日本、中国、香港特別行政区、マレーシア、シンガポールの5つの地域で働くビジネスパーソンを対象に、週休3日制に関する意識調査を実施した(回答数458)。それによると、「週4日勤務の方が、週5日勤務より生産性が上がると思うか」との質問に、中国は73パーセント、香港は69パーセント、マレーシアは65パーセントが肯定的な回答をしている。日本でも54パーセントが「より業務に集中できる」と答えた。
勤務時間が1日減ればどれだけ忙しくなるのかと心配する声も聞かれそうだが、実際に調査で判明したのは、「業務量が多すぎる」という回答はわずか9パーセントで、肯定派が大多数を占めた。

イギリスで試験導入された際には、企業の欠勤や離職率が低下し、ワークライフバランスの改善に強く関与したという。ヘイズ・ジャパンのマネージング・ディレクターであるグラント・トレンズ氏は、「日本においては、従業員のウェルビーイングを高めるワークライフバランス施策が、採用・定着の両面でプラスに働いています」と話している。35パーセントのビジネスパーソンが「転職先を検討する際にこうした取り組みを重視する」と回答し、40パーセントは「ワークライフバランスの良さから現在の企業にとどまっている」と答えたという。
選択的週休3日制ではなく、全社で決められた日を休みとすれば、オフィスの稼動日が1日減り経費が削減されるというメリットもある。それがカーボンフットプリントの軽減にも寄与するとのことだ。
厚生労働省は選択的週休3日制を推奨している。こうした週休3日制への肯定的な空気を受けて、日本でも一気に広がりを見せる可能性がある。だが、余裕のある大手企業が週休3日制を導入した際の、下請けへの影響も考えなければならない。下請けの犠牲の上に成り立つ週休3日制では困る。社会全体のワークライフバランスと生産性が向上する形に整えていく必要があるだろう。