韓国の大統領選(6月3日投開票)で先頭を走る進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の李在明候補は26日、国益を中心に据える外交・安全保障分野の公約を発表した。「李在明の実用外交は堅固な韓米同盟を基礎にしている」とうたった。「日本は重要な協力パートナーだ」ともした。
選挙戦では進歩・保守両陣営がお互いに激しいネガティブ・キャンペーンを展開し、外交や安保分野にはほとんど光が当たっていない。李氏の外交安保政策の発表が選挙戦終盤にずれ込んだこと自体、有権者と政治家の関心が集まっていない証左と言える。李氏は選挙戦で、「暴言王」「親北朝鮮」などの批判をかわすため、公開討論会で積極的に相手を非難する姿勢を抑えてきた。26日発表の外交安保政策の公約も、「親中国・親北朝鮮」「反日」という批判を意識した様子がうかがえる。
ただ、韓国の知人たちは「李在明氏の本当の関心は、権力を握り、維持することだ」と口をそろえる。政策にはあまり関心がなく、特に自治体トップを務めて経験が豊富な内政と比べ、外交安保分野にはなかなか関心が向かないとされる。
ただ、そんな悠長なことも言っていられないようだ。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は5月22日、米政府が在韓米軍(約2万8500人)を縮小し、約4500人をグアムなどインド太平洋地域に再配置する案を検討していると報じた。韓国国防省はただちに、そのような通告を受けた事実はないとコメントした。米ランド研究所の上級アナリスト、ブルース・ベネット氏も「非常に拙い案だ。米国が中国の脅威を最重視していないという誤ったメッセージを周辺の同盟国に送ってしまう」と語った。
ただ、ベネット氏のコメントにもあるように、米国内では在韓米軍について「対北朝鮮専用部隊」ではなく、台湾有事などにも転用できる部隊に進化させるべきだという議論は行われている。どちらにしても、朝鮮半島有事で、韓国軍の負担が増すことは間違いない。