DXやAIを駆使した合理的なビジネスモデルを導入し、創業わずか3年9カ月で上場。完全成功報酬制や高いマッチング力を武器に日々シェアを拡大しているのがM&A総合研究所(以下、M&A総研)だ。
今回紹介するのは、M&A×Techを標榜するM&A総研のビジネスモデルの中枢ともいえる法人部だ。M&Aにおけるマッチングを専門に担当する重要な部署である。
M&A総合研究所 法人本部 第二部 マネージャーの小国徳美と法人本部 第七部 主任の杉本真菜に、同部署の仕事内容とやりがいについて話を聞いた。
法人部は、約100名で事業の中枢を担う
M&A総研はマッチングに特化した部署を有し、DXやAIの力を駆使して、速いスピードと高い精度でマッチング候補先を探し出すことができるという。
では、この部署ではどのような人材が活躍しているのだろうか。
「モノではなく、自分の人間力を鍛えられる無形商材を扱いたいと思い、大手保険会社に新卒で入社しました。そこで経験した代理店営業で、工夫次第で代理店の業績を伸ばせることにやりがいを感じました。一方で、エンドユーザーにアプローチできないというジレンマも感じていました。このもどかしさから、自己成長につながる新たな環境を求めるようになりました」
取引先の代理店も含め周囲に経営者が多かった杉本は、高齢化による後継者不足に悩んでいる企業が多いという現実を、次第に意識するようになったという。
「そんなときに、たまたま友人がM&A仲介会社に転職したのです。話を聞いてみると、経営レベルで企業の課題解決に携われる、大きなやりがいがある仕事だと気づいたのです」
杉本がM&A総研を選んだ理由は、DXとAIを活用した徹底的な業務効率化にあった。従来なら事務作業に費やす時間を、クライアントとのコミュニケーションに使えるからだ。さらには同社の先進的な組織づくりも志望理由のひとつとなった。
「M&Aの仕事を調べるうちに、譲渡企業と譲受企業双方にバリューのある『マッチング』こそがM&Aのフローの中でもっとも重要な部分だと考えるようになりました。M&A総研の法人部ではマッチングに特化した仕事ができることを知り、面接は部署指定で受けました」

一方、小国は新卒で大手企業に入社。リテール営業での新規開拓や既存顧客との折衝を通じて、精神面が鍛えられたという。
「入社のきっかけはM&A総研の説明会に参加した際に、登壇していた社員の目がキラキラしていて、仕事に誇りをもっていることが伝わったからです。学生時代は部活動にも参加しない生活をしていたので、そんな自分を変え、もっとかっこいい女性になれるのではないかという期待もありました」
前職で法人営業をしながらM&Aを手がけたことが、小国の転職を考えるきっかけとなった。顧客のニーズをヒアリングし、M&A仲介会社と連携するという業務を通じ、M&A仲介の仕事の魅力を知り、M&A総研への転職を決意したという。

M&Aの可能性はニーズの合致だけではない、シナジーを提案すること
法人部の主な仕事は、M&Aを希望する譲渡企業に対してマッチング先となる譲受企業を探す。その仕事のなかで、どのようなときにやりがいを感じるのだろうか。
「1年ほど相手が見つからなかった企業のM&Aを途中から引き継いだことがあります。高齢化による事業承継を検討している土木関係の企業で、オーナーは会社と社員の将来をとても心配していました」
杉本は、それまで成約に至らなかった理由を、マッチングの際にシナジー効果を十分に考えていなかったことだと考えた。
「この企業と組めば、“こういうシナジー=従来できなかった新しい工事受注の可能性が生まれます”というところまで本来は提案すべきです。その先を見据えた提案が見事に成約に結びついたときに、大きなやりがいを感じました」
譲渡企業の数が多いとマッチングは忙しくなりがちだが、DXによる徹底した効率化によって、こうしたじっくり考える時間を確保できることが、M&A総研の大きな利点だと杉本は強調する。
M&A総研でのDXによる効率化は、無駄な業務を短縮化し、人間でないとできない仕事にしっかりと時間を確保するために行われている。
新規開拓先を探し、直接電話。成約にこぎ着けた
小国は自身が担当した、有名ブランドショップの空間デザインを手がける小規模企業のM&Aが印象深かったと振り返る。
「最初は、オーナーのお知り合いがM&Aで成功したと聞き、自分も後継者がいないので譲渡したいというご相談でした。いちから業界を徹底的に調べて、譲渡企業を分析し、取引経験のない会社に提案をして、無事成約に至ったのです」
買い手となったのはジャンルの異なる空間デザインを手広く手がけている同業他社だった。
「ハイエンドな空間デザインを得意とする部門をもつことで、ブランディングになることはもちろん、社員のモチベーションアップにもつながる。そう判断いただけたことが決め手となったのだと思います。自分が開拓してマッチングできたので、非常に達成感がありました」(小国)
法人部という仕事の魅力と将来性
法人部の仕事のやりがいは、M&Aの実現だけではないと杉本は言う。
「M&Aが終わればそこで譲受企業との関係が終わるわけではありません。アドバイザーと共に企業の成長を見守り、喜びを共有できることも当社の強みだと考えています。M&A後に、どのようなシナジーを生み、どのような成長戦略につなげていったかというところまでを知ることができるのは、自分にとっても大きな学びになっています」
小国は子ども2人をもつ母親である。法人部は彼女にとって働きやすい職場なのだろうか。
「当初はインセンティブ制の報酬体系に不安がありました。個人の裁量が大きく、労働時間も長くなってしまうのではないかと心配しました」
しかし、その心配は杞憂だったという。
「むしろ自分のペースで仕事ができます。ワークライフバランスも維持できており、子どもをもつ女性にとっても働きやすい環境だと感じています」
では具体的にどのような人物が、法人部に適した人材なのだろうか。
「コミュニケーション能力は重要です。外部の情報はもちろん、社内の豊富な情報を整理して円滑にやり取りできる方だと活躍しやすいと思います」(小国)
将来展望~より大きなM&Aを手がけて株式市場にインパクトを与えたい
最後に、ふたりに将来展望を聞いてみた。
「今後はより大規模なM&Aに携わり、自分の影響力をより強く実感できる仕事に挑戦したいです。経験したことのないM&Aほどモチベーションが上がりますし、大規模なM&Aのほうが、社会へのインパクトも目に見える形になると思うからです。まだまだ未知の領域があると思います。全貌を把握できていない多様な業界の仕事に携われる期待感もあります」(杉本)
小国は時間をどう有効に使うかが、今のテーマだという。
「細かくスケジュールを管理して仕事を進める必要があると考えています。担当する件数や、業種の数も多いので、さまざまな経営者の考え方や多くの事業モデルを学ぶにはとても良い環境だと感じています。将来的にはチームリーダーとしてマネジメントもやりながら、市場にインパクトを与えるような大規模なM&Aを成功させたいですね」(小国)
小国徳美(おぐに・とくみ)◎野村證券に新卒入社。リテール営業で新規開拓や既存顧客との折衝を担当しながらM&Aに関わるようになる。M&A仲介の魅力に気づき、M&A総合研究所に入社。
杉本真菜(すぎもと・まな)◎東京海上日動火災保険を経て、代理店営業に従事。BtoBの限界を感じ、自己成長の機会を求めてM&A総合研究所に入社。