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2025.05.21 10:00

生成AIで個人経営レストランを支援する米「Owner」、170億円調達でユニコーンに 

Shutterstock.com

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地元密着型のチェーン店や個人経営のレストランは、人工知能(AI)の導入が最も遅れる分野だと思われている。しかし、1万軒以上の飲食店向けにAIを用いたモバイルアプリの構築やマーケティング支援のシステムを提供するカリフォルニア州のスタートアップ「Owner(オーナー)」は先日、評価額が10億ドル(約1450億円)を上回るユニコーン企業の仲間入りを果たした。

「私たちの会社は、数百の顧客が数十万ドル規模の利益を追加で得られるようにした」と、Ownerの共同創業者でCEOのアダム・ギルドはフォーブスに語った。「GPT-3を試し始めたときにこうなることは予想していたが、進化のスピードは我々の想像を超えていた」と彼は述べている。

この成功により、Ownerは先日Meritech Capital(メリテックキャピタル)とHeadline Growth(ヘッドライングロース)が共同リードしたシリーズCラウンドで1億2000万ドル(約170億円)を調達し、2024年に3300万ドル(約50億円)のシリーズBを実施してからわずか1年強で、評価額を10億ドルに到達させた。

Ownerは、小規模な飲食店オーナーのために開発されたサービスで、検索エンジンに最適化されたウェブサイトの構築から、注文・配達システムの導入までをコーディング不要で一括提供するのが特徴だ。ユーザーはまず店名を検索バーに入力するだけで、Ownerのシステムがネット上の情報をもとにその店舗の現在の状況を評価する。

そして、月額499ドル(約7万2500円)のサブスクリプションを契約すると、収集した情報に基づいてウェブサイトが自動で生成され、検索エンジン向けに最適化されたテキストも同時に生成される。このサイトには、他社よりも低い手数料で利用できる注文・配達システムや、メニュー写真を見栄えよく整える画像編集AIも組み込まれている。これらの初期のセットアップは通常1週間以内に完了でき、その後も売上拡大や集客に役立つ機能の提案が、継続的に行われる。

「当社のシステムは、個人経営のレストランのオーナーが、大手と互角に戦えるようにするためのものだ」とギルドは述べている。彼は、Ownerを飲食店オーナー向けのワンストップサービスにする構想を描いており、まもなく正式リリースが予定されている「AIエグゼクティブ」というサービスで、財務やマーケティングに関するアドバイスを提供するチャットボット群を通じて、経営支援の幅をさらに広げようとしている。

これらのAIツールは、特定の食材の在庫切れを検知してメニューに反映したり、今月の売上データを知らせるといった業務を自動で行えるという。ギルドによれば、これらのチャットボットはOpenAIやAnthropic(アンソロピック)など複数企業のAIモデルを組み合わせたもので、Ownerのプラットフォームを利用する数千のレストランから得たメニューや注文のデータを学習に活用しているという。

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編集=上田裕資

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