ドナルド・トランプ米大統領は他人の飛行機をうらやましがっている。「アラブ諸国のいくつかを見てみると、アメリカ合衆国の飛行機の横に並んでいる彼らの飛行機ときたら、まるで別の惑星からやって来たもののようだ」。トランプは12日にそう感嘆した。
その劣等感を埋め合わせるためか、トランプは現在、エネルギー資源の豊富な君主制国家カタールから飛行機を受け取ることを検討している。カタールはかねてトランプに取り入ろうとしてきた国だ。「とてもすばらしい申し出だ」とトランプは語った。
「俺のモノはデカい」
その申し出は、長年にわたって特大の飛行機を好んできた億万長者のエゴに直接訴えかけるものでもある。経営者は普通、小回りの利くジェット機を好むものだが、トランプはむしろ一部の空港には着陸できないほどの大型旅客機を選び、自分仕様にしてきた。
トランプの飛行機はたとえ実用的ではなくても、自己主張できるものになっているのは間違いない。航空業界の専門家ジョージ・リーンストラはこう語る。「自己顕示欲の観点から言えば、ああいう飛行機で着陸すれば『どうだ、すごいだろ』ってことになります。それをどう受け取るかは見る人次第でしょうけれど」
昔、トランプの古いボーイング727によく同乗していたというコミュニケーションコンサルタント、アラン・マーカスの解釈はこうだ。「誰の一物がいちばんデカいかっていう話の延長だよ」
1980年代後半、トランプが自己顕示欲に突き動かされ、プラザホテルやらプロフットボールのチームやら、あらゆるものを買い漁っていたころ、彼は経営難に陥っていたイースタン航空の一部を買収し、それをニューヨーク、ボストン、ワシントンD.C.を結ぶ「トランプ・シャトル」というサービスにつくり変えた。この事業は失敗に終わったが、トランプはボーイング727を1機手に入れ、それを自家用ジェット機に改装した。