健康

2025.06.03 14:15

科学者が4.4万人の採血データ35年間追跡──壮年期の血液から寿命はわかるか

Getty Images

Getty Images

かつては珍しかった100歳以上の高齢者(センテナリアン)は、今ではありふれた存在になっている。実際、1970年代以降、10年ごとにほぼ倍増し続けている、世界で最も急速に増えている人口層だ。

人間がどれほど長く生きられるか、健康長寿を左右する要因が何かは、古代から関心の的だった。プラトンやアリストテレスも2300年以上前に老化について論じている。

しかし、きわだった長寿の秘密を解き明かすことは簡単ではない。解明には、遺伝的要因と生活習慣の複雑な相互作用を一生にわたって追跡する必要がある。今回、GeroScienceに発表された最新の研究では、90歳以上生きる人々に共通するバイオマーカー(コレステロールや血糖値など)が明らかになった。

90代や100歳以上の人々は、長寿や健康的な老化のヒントを与えてくれる存在として、長らく研究対象となってきた。ただし、これまでの研究は規模が小さく、施設入居者を除外するなど限定的なものが多かった。

過去最大規模のバイオマーカーデータ

今回の研究は、長寿者とそうでない人々のバイオマーカーを生涯にわたって比較したものとしては、これまでで最大規模だ。

研究では、100歳を超えて生きた人々と、それ以前に亡くなった人々のバイオマーカーを比較し、それらの違いが長寿とどう関係しているかを調査している。

対象は、64〜99歳で健康診断を受けたスウェーデン人4万4千人(Amorisコホートと称された集団)。これらの人々を最長35年間、登録データで追跡した。そのうち1224人(全体の2.7%)が100歳に到達し、その85%は女性だった。

炎症、代謝、肝臓・腎臓機能、栄養不良や貧血に関連する12種類の血液バイオマーカーを対象とした。これらはいずれも過去の研究で老化や死亡に関連があるとされている。

炎症に関連するバイオマーカーは尿酸(特定の食品の消化によって発生する老廃物)であった。また、代謝状態や機能を示すコレステロール、血糖値、肝機能関連では、ALT(Alat)、AST(Asat)、アルブミン、γ-GTP(GGT)、ALP(Alp)、LDH(LD)などを分析とした。

腎機能を示すクレアチニン、貧血と関係する鉄と総鉄結合能(TIBC)、さらに栄養状態を示すアルブミンも分析対象とした。

次ページ > 何がわかったか?

翻訳=坂口オスウェル大芽 編集=石井節子

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事