米共和党全国委員会(RNC)は3月に、ドナルド・トランプ大統領とその長男のドナルド・トランプ・ジュニア(47)に関連する企業に30万ドル(約4350万円。1ドル=145円換算)以上を支出したことが提出書類で判明した。そのうち約20万ドル(約2900万円)は、パームビーチにある邸宅の「マー・ア・ラゴ」に対する支払いだった。
このことは暗号資産やSNSの「トゥルース・ソーシャル」などを新たな収益源とするトランプが、依然として古くからの資産から政治資金を生み出していることを示している。
RNCが連邦選挙委員会に提出した最新の報告書によれば、マー・ア・ラゴは3月にトランプ関連の企業の中では最大の金額である合計19万5000ドル(約2827万円)の支払いを、会場のレンタル費とケータリング費として受け取っていた。
マイアミの「トランプ・ナショナル・ドラル・リゾート」も同様に、会場レンタル費とケータリング費用として8万5000ドル(約1240万円)を受け取った。RNCはまた、トランプ・ジュニアが共同創業したトランプ関連の書籍の出版元のウィニング・チーム・パブリッシングに3万5000ドル(約507万円)を、献金者への記念品代として支払った。さらに2200ドルの「旅行経費」がトランプ・ホテルズに支出された。
ホワイトハウスはコメントを控え、RNCとトランプ・オーガニゼーションの広報担当者は取材に応じなかった。
トランプは大統領就任後も自身のビジネスから利益を得られるようにするために、自身が唯一の出資者かつ受益者である「撤回可能信託(revocable trust)」を通じて事業を管理している。このスキームは、彼の1期目の在任中にも使われていた。
監視団体の「ワシントンの責任と倫理を求める市民(CREW)」によれば、トランプを支持する政治資金団体は1期目の在任中、彼の所有物件に対して合計1180万ドル(約17億円)を支出していた。その内訳は、現在は閉鎖されたワシントンD.C.のホテルに300万ドル(約4億3500万円)、マイアミのリゾートに180万ドル(約2億6100万円)、マー・ア・ラゴに50万ドル弱(約7250万円)だった。
CREWの副代表のジョーダン・リボウィッツによると、ワシントンD.C.のホテルが売却された後、マー・ア・ラゴが政治支出の中心地となったという。トランプ支持者らは、D.C.のホテルに通っていた理由として、その豪華さと立地の利便性を挙げていたが、ホテルが売却されると、そうした支出はマー・ア・ラゴに向かうようになった。
「そこに投じられる金額は、暗号資産関連などのトランプの新たなビジネスの規模には及ばないが、これはまさに従来型のトランプ流の金儲けだ」とリボウィッツは語った。「彼にとって重要なのは、金額ではなく、支持者が『忠誠を示す』ことなのだ」
2016年以降にトランプ陣営の政治団体がマー・ア・ラゴに支出した金額は合計540万ドル(約7億8300万円)に達している。