人工知能(AI)があらゆるものに組み込まれつつある。今やAIが企業のリーダーシップを担う可能性が浮上している。一部の企業ではすでにAIを上司やマネージャー、果てはCEOとして試験的に導入しているのだ。違和感を覚えるかもしれないが、理にかなう部分もある。AIは24時間休まず稼働し、コーヒーブレイクも休暇も不要である。データに基づく感情のない意思決定を下し、コスト削減や人員整理の場面でも人間のような感情を排除できる。大きな疑問は、アルゴリズムがチームを率い、従業員を鼓舞し、人間関係が複雑に絡む職場環境を乗り切れるのか、という点だ。
AIがますます高度化するにつれ、企業はリーダーとしてのAIの可能性を探り始めている。実際にAIをCEOやマネージャーに任命した企業も少数ながら存在する。これらの試みは、リーダーシップの未来、自動化の限界、そして人間と機械の協働関係について根本的な疑問を投げかけている。
最近のマッキンゼーの調査によれば、組織は定型的な管理業務にAIを利用する傾向を強めており、2024年と2025年に導入速度が加速しているという。特にスケジューリング、分析、ワークフロー承認などの機能で採用が進んでいる。
さらに、2023年のウォール・ストリート・ジャーナルのレポートによれば、採用やリソース配分などの意思決定における人間のバイアスを減らしたい企業にとって、AIの公正さが魅力的だとされている。一方で、人事管理協会(Society for Human Resource Management、以下SHRM)などの人事専門家は、効果的な人材管理とリーダーシップには感情的知性(EI)が不可欠であると強調している。リーダーシップには不確実性への対応、信頼の構築、創造性の喚起といった要素が欠かせないが、先進的な生成モデルであってもAIはこれらを十分にこなせないのが実情だ。