フォーブスが4月2日に発表した「世界長者番付」の2025年版では、ハイテク業界の富豪の中でも特に人工知能(AI)関連のビリオネアたちの台頭が目立っていた。2022年にChatGPTが登場して以来、AIをめぐる競争は本格化しており、投資家の熱狂や最先端の大規模言語モデル(LLM)の誕生により新たな富豪が続々と生まれている。
たとえば、2021年にOpenAIを離れた7人の元社員は、Anthropic(アンソロピック)を立ち上げて事業を急拡大させ、今年の3月に615億ドル(約8.9兆円。1ドル=145円換算)の評価額で35億ドル(約5075億円)を調達したことで全員がビリオネアになった。中国の起業家でDeepSeek(ディープシーク)の共同創業者の梁文峰(リャン・ウェンフェン)も、同社がまだ大きな収益を生み出していないにもかかわらず、保有資産が10億ドルを超えたと試算されている。
さらに、翻訳サービス企業のTransPerfect(トランスパーフェクト)の創業者のフィル・ショウや語学学習アプリDuolingo(デュオリンゴ)の共同創業者のルイス・フォン・アン、上海のゲーム開発会社Papergames(ペーパーゲームス)の創業者のヤオ・ルンハオらも、AIを用いたイノベーションによりビリオネアの地位を獲得した。
また、防衛関連の取り組みにAIを用いる起業家としては、2024年5月の資金調達時に評価額が約140億ドル(約2兆円)に達したScale AI(スケールAI)の共同創業者のアレクサンダー・ワンが挙げられる。同社は今年3月に米国防総省を契約を結び、軍事計画と作戦にAIエージェントを導入する「Thunderforge」プロジェクトを開始した。
一方、AIの研究やオペレーションには莫大なコンピューティング能力が求められるため、それを提供する企業も大きく成長している。この分野の代表例がCoreWeave(コアウィーブ)で、小規模な新興企業だけでなくマイクロソフトのような大手も顧客としている。同社の3人の共同創業者と1人の初期投資家も、新たなビリオネアとなった。
以下に2025年版フォーブス「世界長者番付」に初登場した注目すべきAI分野のテック系ビリオネアたちを紹介する(資産額は3月7日時点の株価や評価額に基づいている)。