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2025.05.12 12:00

米メタが「ステーブルコイン」導入を協議、クリエイターへの支払いに

メタCEOのマーク・ザッカーバーグ(Photo by Craig T Fruchtman/Getty Images)

メタCEOのマーク・ザッカーバーグ(Photo by Craig T Fruchtman/Getty Images)

マーク・ザッカーバーグが率いる米メタが、世界30億人のユーザー向けに暗号資産を用いた国際送金システムの導入を検討していると報じられた。

フォーチュン誌は5月8日、メタがクリエイターへの少額報酬の支払いの管理手段としてステーブルコインの導入を検討していると報じた。同誌が匿名の関係者5人から得た情報によると、メタはこの計画を複数の暗号資産関連の企業と協議中という。

フェイスブックやインスタグラム、ワッツアップなどのプラットフォームを運営するメタは、2019年に「リブラ(後にディエムに改称)」と呼ばれる独自の暗号資産を立ち上げてグローバルな金融システムに変革をもたらす構想を発表したが、規制当局からの反発を受けて、2022年にそれを断念していた。

一方、米ドルと連動したステーブルコインの市場は、ここ数年で大きく成長しており、テザー社が発行するUSDTの時価総額は1500億ドル(約22兆円)近くに達している。この成長は、ビットコインや暗号資産業界を後押し、ステーブルコインを従来の金融システムに組み込むことを目的とする画期的な法案の成立を目指すトランプ米大統領の政策に後押しされている。

USDTの爆発的な成功によって、テザー社の昨年の純利益は130億ドル(約1.9兆円)に達した。これを受け、ペイパルやバンク・オブ・アメリカなどの大手も米ドルに連動するステーブルコイン市場への参入に乗り出している。

スタンダードチャータード銀行は先月、現状で2300億ドル(約33兆円)規模のステーブルコイン市場が、米国における法整備が進めば、2028年末までに2兆ドル(約290兆円)規模に成長する可能性があると指摘した。

「巻き返しには慣れている」

米決済大手Stripe(ストライプ)は昨年10月にステーブルコインのインフラを提供するスタートアップのBridge(ブリッジ)に10億ドル(約1450億円)で買収提案を行い、今年2月にその取引を完了させた。フォーチュン誌によると、ザッカーバーグは先日、ストライプのカンファレンスに同社の共同創業者のジョン・コリソンと並んで登壇し、「我々が出遅れていて、必死に巻き返さなければならないことはたくさんある。でもその巻き返しには慣れている」と語ったという。

オランダを拠点とするステーブルコイン提供企業のQuantoz Payments(クアントズ・ペイメンツ)のCEOのアルナウド・スター・ブスマンは、「この展開は非常に理にかなっている。メタバースやビデオゲーム業界では、ステーブルコインを使ってゲーム内経済に参加するのはすでに一般的だ」とコメントした。

「そういう意味において、このニュースに特に目新しさはないが、メタの巨大なエコシステムは、ステーブルコインが決済手段として広く普及していく流れを、一気に加速させる」と彼は続けた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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