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2025.05.08 12:00

アップル「グーグル離れ」を幹部が示唆し、アルファベット株が7.5%急落

bluestork / Shutterstock.com

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グーグルの親会社アルファベットの株価は、5月7日の市場で7.5%急落した。同社の株価は、アップルの幹部がアップル製デバイスにおけるグーグルの検索エンジンの支配的地位が終わりを迎える可能性を示唆したことで急落した。

ブルームバーグによると、アップルサービス部門の上級副社長エディ・キューは7日、米司法省がアルファベットを相手取って起こした反トラスト(独占禁止)訴訟の一環で証言を行い、アップルが自社のブラウザであるサファリに生成AIによる検索機能を追加することを「積極的に検討している」と語った。

キューによれば、アップルはOpenAIやPerplexity AI(パープレキシティAI)のような企業の生成AI検索機能をサファリの検索オプションに追加する可能性が高いという。ただしそれでも彼は、同社がグーグルをデフォルトの検索エンジンとして維持すべきだと考えていると付け加えた。

キューはまた、サファリでの検索数が4月に初めて減少したことに言及し、人々がAIを使うようになったためだと指摘した。アルファベットの株価は、7日の終値で7.5%安の152.8ドルに沈んだ。これは2023年10月以降で最悪の下落率であり、グーグルが2004年に上場して以来、3番目に大きな下落率となった。

7日の市場でアルファベットは、1505億ドル(約21兆6000億円)の時価総額を失った。この額は、ボーイングやコムキャスト、ナイキ、スターバックスといった企業各社の時価総額を上回る。

現在、アップルはサファリのデフォルト検索エンジンをグーグルにしているが、この契約は両社にとって極めて収益性の高いものとなっている。昨年明らかになった情報によれば、グーグルはこの契約のために2022年にアップルへ200億ドル(約2兆8700億円)を支払っており、モルガン・スタンレーは、この額が同年にグーグルがサファリ経由で得た検索広告による収益の36%に相当すると試算している。

アルファベットの2022年の総収益は2830億ドル(約40兆6000億円)だったが、このうち1620億ドル(約23兆2000億円)が検索によるものだ。モルガン・スタンレーの試算が正しければ、同社の全体の収益の約5分の1がサファリ経由の広告収益だったことになる。

アルファベットが生成AI関連の要因から株価を急落させたのは、今回が初めてではない。同社の株価は、グーグルの生成AIサービス「Gemini(旧Bard)」が、2023年2月8日にティザー動画内で誤情報を表示したことを受けて7%急落していた。また今年の2月26日にも、Geminiの画像生成機能が歴史上の人物の不正確な描写を行ったことを受けて5%急落していた。

アルファベット株の過去3年間のリターンは31%だが、これは同期間におけるS&P500の42%を下回っている。

アップル株も、7日に1.5%下落して約196ドルをつけた。これは、ハイテク株が多いナスダックが同じ日に0.3%上昇したのとは対照的な動きだった。アップルの株価は、1日の決算発表以降に8%下落しているが、過去3年間の同社株のリターンも26%と市場平均を下回っている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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