今年もあっという間に新年度がスタートし、期待と不安が入り混じる時期に突入した。毎年、ゴールデンウィークを境に心身のバランスを崩す人も少なくない。いわゆる「五月病」だ。
健康食品を製造・販売する大研バイオメディカル株式会社は、過去に五月病を経験した人を対象に、症状やその後の対処法について調査を行った。その結果から見えてきたのは、「五月病」は一時的な気分の落ち込みではなく、日常生活に影響を及ぼす「軽視できない不調」であるという実態だった。
◾️調査概要
事前調査期間:2025年4月/回答数:3000件
本調査期間:2025年4月(五月病を「経験あり」と答えた850名を対象)
調査方法:クロスマーケティング社のQiQUMOを使用したインターネット調査
調査によると、約35%が「五月病を経験したことがある」と回答。主な症状としてもっとも多かったのは「やる気が出ない」で約8割。次いで「気分が落ち込む・不安になる」「職場・学校に行きたくない」「朝起きられない」「疲れが取れない」などが続いた。また「眠れない」「人と話したくない」「食欲がなくなる」など、うつ傾向の症状もある。五月病は単なる気分の波ではなく、精神的・身体的ストレスの複合的な現れであることが見て取れる。

不調が続いた期間については、「1週間以上~2週間未満」がもっとも多く約30%を占めたが、注目すべきは「1か月以上」あるいは「現在も続いている」と答えた人が220人を超えた点だ。
4人に1人以上が長期間の不調を経験しており、「春の一過性の不調」というイメージとは裏腹に、回復までに相応の時間を要するケースも少なくないことがわかった。

回復のきっかけとなった対処法を聞いたところ、もっとも多かったのは「ゆっくり休んだ」こと。次いで「趣味や気分転換をした」「生活習慣(食事や睡眠など)を見直した」と続く。中には「誰かに話を聞いてもらった」「運動した」など、心と体の両面から自分を整えようとする姿勢が見られた。

五月病に対する世間の認識は「一時的な気のゆるみ」や「なまけ癖」といった偏見も残るが、実際には職場や学業への適応ストレスや社会的孤立感など、構造的な背景が一因だとも考えられる。つまり、五月病は誰にとっても起こり得る「身近な不調」でありながら、長引けば生活全体に支障をきたすリスクがあるということだ。
「少し疲れているだけ」と思っていたら、いつの間にか心も体も動かなくなっていた──。そんな事態を防ぐためにも、日々の気分や身体のサインを見逃さず、食事・睡眠・休息・対話といった「心身を整える力」を暮らしの中に意識的に取り入れることが現代人に求められているのだろう。