第2次トランプ政権の誕生から4月29日で100日目を迎えた株式市場は、全体的に低迷しているが、例外的に好調なのは防衛分野における人工知能(AI)の活用を推進するソフトウェア大手の米パランティア・テクノロジーズだ。同社の共同創業者で会長のピーター・ティールは、シリコンバレーの大物でトランプにとって最古参の支援者であり、副大統領のJ.D.バンスをはじめとする現政権の有力者たちのメンターとしても知られている。
パランティアの株価は、トランプの第2次政権発足直前の1月17日以降に54%上昇したが、これはS&P500種株価指数に採用されている米国の上場企業500社の中でトップとなる成績だ。一方でS&P500全体は同期間に8%下落しており、ブルームバーグによれば、これは1974年にリチャード・ニクソンの辞任を受けてジェラルド・フォードが大統領に就任して以来で最も悪い大統領就任後100日間のパフォーマンスだという。
パランティア株の急上昇は、第2次トランプ政権の誕生前から続いていた。AIブームの波に乗った同社株は、2024年に約4倍に上昇し、S&P500の構成銘柄中で最も高いリターンを記録していた。
バンク・オブ・アメリカのマリアナ・ペレス・モラ率いるチームは、今年初めの顧客向けのメモの中で、パランティアがイーロン・マスクが率いる政府効率化省(DOGE)の取り組みを受けて、「政府の効率化を支援する代表的な企業」として「明確な勝者」になったと述べていた。
パランティアを率いるティールは、昨年の大統領選でトランプへの支持を公には表明しなかったが、1月にトランプの就任を祝う豪華なパーティを主催した。彼はまた、バンス副大統領との10年にわたる関係でも注目されている。かつて、ティールのベンチャーキャピタルで働いた経験を持つバンスは、ティールのことを「良きメンター」と呼んでいる。
さらに、ティールに近しい人物の中には、彼とともにPayPal(ペイパル)を創業したイーロン・マスクや、トランプ政権のAIおよび暗号資産担当を務めるデービッド・サックス、駐デンマーク大使に指名されたケン・ハウリーなどの「ペイパルマフィア」と呼ばれる面々が含まれる。また、元パランティア幹部のジム・オニールとマイケル・クラツィオスらも、それぞれ保健福祉省(HHS)と科学技術政策局(OSTP)の幹部に指名されている。
2024年のパランティアの収益、その約55%は政府との契約に基づいているが、同社の株価パフォーマンスは、防衛分野の競合を大きく上回っている。国防関連大手のゼネラル・ダイナミクスやロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマン、RTX(旧レイセオン)などの株価は第2次トランプ政権下でほぼ横ばいであり、ロッキードは3%安、RTXは3%高に留まっている。また、連邦政府のコンサルタントを務めるアクセンチュアとブーズ・アレン・ハミルトンの株価は、新政権の発足後に10%以上も下落している。
トランプ政権100日間で最も好調なS&P銘柄
パランティア
フィリップ・モリス
ダラー・ゼネラル
ベリサイン
ニューモント
ネットフリックス
CVSヘルス
AT&T
クローガー
テイクツー・インタラクティブ
トランプ政権100日間で最も不調なS&P銘柄
デッカーズ・アウトドア
テラダイン
ゼブラ・テクノロジーズ
アルベマール
デルタ航空
ユナイテッド航空
ノルウェージャン・クルーズ・ライン
ウエスト・ファーマシューティカルズ
テスラ
アリスタ・ネットワークス