ヘルスケア

2025.04.30 10:30

パーキンソン病は「治療できない」のは大きな誤解、原因や治療法を解説

Shutterstock.com

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パーキンソン病に関する研究が進む中、米国では毎年約10万人が新たにこの病気と診断されている。実際、米パーキンソン病財団によると、同疾患はアルツハイマー病に次いで2番目に多い神経変性疾患だ。

米国にはパーキンソン病患者がおよそ100万人いると推定され、中には元気に暮らしている人もいるが、この病気は多くの場合、衰弱をもたらし、生活の質に影響を与えることも少なくない。

本稿では、パーキンソン病とは何か、その原因は何なのか、そしてどのような治療法があるのかについて解説しよう。

パーキンソン病とは

パーキンソン病は、神経細胞を損傷または死滅させることで体の神経系に影響を及ぼし、運動機能に影響を与え、ドーパミンの生成を減少させる慢性進行性疾患だ。この「幸せホルモン」とも呼ばれるドーパミンの喪失と、認知機能と筋肉の動きの協調をつかさどる脳の領域に影響が及ぶことが衰弱の原因となる。

パーキンソン病財団の医療顧問を務める、米フロリダ大学ノーマン・フィクセル神経疾患研究所のマイケル・オクン所長は、この病気は運動だけでなく、気分や思考にも影響を及ぼし、引き起こされる運動症状と非運動症状は約20種類に及ぶと説明。「こうしたことから、パーキンソン病は医学上最も複雑な難病とも言われるのだ」と強調した。

パーキンソン病に伴う症状には、手や指の震え、平衡感覚や協調運動の障害、声の変化や嗅覚の低下、疲労感、筋肉の硬直、気分の変化、むずむず脚症候群などの睡眠障害がある。また、書く、かむ、飲み込むといった動作が困難になることが多い。認知症やうつ病、記憶喪失を伴う場合もある。

こうした症状について、米オレゴン健康科学大学運動障害外科学科で医療部長を務めるデララム・サファルプール博士は、病気の期間が長くなるにつれて悪化すると説明した。

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翻訳・編集=安藤清香

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