教育

2025.05.08 15:15

義務教育に「会計」を──小学生も目覚める『豚の貯金箱』理論の勧め

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1年で在庫が「1.2億円+から6000万円」に!

実際に私の会社で「風船会計メソッド」を使って社員教育をしたところ、社員の会計リテラシーが高まり、経営の効率化につながりました。

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まず、社員の視野が広がり、業績向上や効率化のアイデアが増加しました。会計に関心がなかった社員も貸借対照表について話をするようになり、売り上げの金額だけでなく利益向上の意義も理解するようになりました。

すると、在庫が1年で1.2億円以上から6000万円と約半分も減少し、売上総利益率も18.5%から22.6%へ向上したのです。また、コスト上昇時には自発的に取引先と価格交渉を行うなど、経営者視点で行動する社員も増加しました。会計数字の理解が、課題発見と経営改善の意識を高めていったのです。私自身が、こんな短期間でここまで効果があるのかと驚きを隠せなかったほどです。

さらに、一時的に利益が減少したときには、各部署の社員が集まって風船会計の図を使って解決策を協議。部署間の責任の押し付け合いがなくなり、組織の風通しが改善し、より円滑な連携が生まれました。

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では、子どもへの効果は?

以上は企業における例ですが、この「風船会計メソッド」を義務教育に取り入れることで、どのような効果が期待できるでしょうか。

まず、子供のうちから楽しく会計の基本を学ぶことで、お金の使い方や資産管理の意識が高まります。それにより社会に出る前に家計や企業経営の仕組みを理解し、より実践的な経済感覚を持った社会人に育てることができるでしょう。

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また、コスト意識や利益の重要性を理解することで、ただ与えられた仕事をこなすのではなく、自ら工夫して改善する力が養われます。経営者視点を持つことで、起業する人やリーダーシップを発揮する人材の増加も期待できます。

さらに、一般市民の経済知識が向上すれば、無駄な借金や浪費を減らし、貯蓄や投資を適切に行う人が増えます。結果として、経済の安定や成長につながる可能性があります。

だからこそ、専門的な会計教育を義務教育に取り入れるべきなのです。小中学生のうちから会計の基礎を学ぶことで、日本の個人や企業、さらには社会全体がより強く、豊かになれるはずです。

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文=松本めぐみ

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