人工知能(AI)を活用したモーションキャプチャーのためのデバイスを開発する韓国のスタートアップ、Movin(ムービン)が、プレシリーズAラウンドで40億ウォン(約4億円)を調達した。同社は、この資金をヒューマノイド(人型ロボット)向けの3Dモーションデータの提供の拡大に用いるという。
このラウンドは韓国のベンチャーキャピタルのAtinumが主導し、NAVERのコーポレートベンチャー部門であるNaver D2SFや、DSCインベストメントとそのアクセラレーターのSchmidt、Krew Capitalらが参加した。Movinは、このラウンドの評価額を明らかにしていない。
Naver D2SFのヤン・サンファンは、「3Dモーションデータは、AIが人間の動きや行動を理解するために欠かせない。その需要は、VTuberやゲームなどのエンタメ分野だけでなく、ロボティクスやヘルスケア分野でも今後ますます拡大していくはずだ」と3月26日にこの投資を発表した際の声明で述べている。
ソウル南部の城南(ソンナム)市に拠点を置くMovinは、韓国の理工系トップ大学である韓国科学技術院(KAIST)で、3Dのヒューマンモーションを専門とする研究者グループによって2023年に設立された。
Movinの主力製品は「Tracin」と呼ばれるモーションキャプチャーのためのAIデバイスで、自動運転分野で使用されるセンサーのLiDARを使用している。この分野ではViconの光学式システムが広く使用されているが、Tracinの価格は、既存のシステムの約10分の1で、設置にかかる時間も従来は2時間かかるところが5分で済むとMovinは主張している。
Tracinは、これまで米国や韓国、英国を中心とした11カ国の50社以上のゲームスタジオやVTuber、エンタメ企業からの注文を受けたという。
Movinは先日、サンフランシスコで開催されたGame Developers ConferenceでTracinを披露した。同社の共同創業者でCEOのチェ・ビョリは、インタビューで「私たちのデバイスを見た来場者は、高品質なモーションと低遅延を1台のデバイスで実現している点に非常に驚いていた」と語った。チェは以前、NAVERのメタバースプラットフォームのZepetoに勤務していた。