データ産業の隆盛
vpnMentorの新たな報告書は、ユーザーのあらゆるデータがどのように収集され、蓄積され、収益化されているか、その舞台裏を示している。そして、他の多くの分野と同様に、AIによって再編される市場でもあることが指摘されている。vpnMentorは「この業界は長い間、デジタル空間における情報交換を背後で支配してきた存在であり、データがどのように集められ、パッケージ化され、収益化されるかに影響を与えてきた。データブローカーは複数の情報源や手法を用いて消費者に関する情報を収集し、動的なユーザープロファイルを構築した上で、それを第三者に販売している」と述べている。
その数字は驚くべきものだ。データブローカー産業はすでに約3900億ドル(約58兆2000億円)規模に達しており、2032年までに6720億ドル(約100兆円)にまで拡大する可能性があるとされている。vpnMentorによれば、これらの推計値が正しければ、同産業はソーシャルメディアやサイバーセキュリティと同等、あるいはそれ以上の規模になるという。より多くのデバイスからより多くのユーザーデータを求める欲求が高まる理由はここにある。
AIの普及が進むことで、これらの数値にどのような影響がおよぶのかは依然不明だ。まだこの動きの初期段階にあるという。「世界的なデジタル導入の加速と、テクノロジーやオートメーション分野におけるイノベーションの急速な進展により、消費者データの価値はこれまで以上に高まっている。データブローカーは、すでにクロスデバイストラッキングを実装して動的なプロファイリングを行っている。一方でAIの進歩によって情報の収集と処理が簡略化され、さらに積極的なデータ仲介が可能になっている」と報告書は指摘している。
結局、Chromeのユーザーは、トラッキングCookieに関しては前向きな改変がありながら、デジタルフィンガープリントについては後退するという皮肉な状況に置かれている。広告業界がユーザーデータを必要としている事実は変わりそうにない。
(forbes.com 原文)